人気ブログランキング | 話題のタグを見る

航海日誌


by pacific_project
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

真横から見る花火

太平洋企画「凛」顔合わせ+みなと花火大会@港の見える丘公園。

12月に個展を予定しているSの企画の顔合わせをした。
Nさんから印象深いカメラマンFちゃんを紹介してもらうことができた。
今後どうなるかは、S次第ですね。

午後早く来て席取りをしたのですが、大きな木に邪魔されて、
音ばかり響くものの隙間から花火が申し訳程度に見える感じで、
チラリズムの美学だの陰翳礼讃だの適当なことうそぶいてごまかしていたのですが、
ちょっと歩いて高い場所に立ったら、大きな花火が真横に見えました。
花火を見ながら、Aのもってきたスイカ(しかも切れてる)を食べるのはよかった。
また、元町で居心地がよく、料理がおいしい店を発見。また行きたい。

東京方面からきてくださったみなさま、本当にありがとう。
# by pacific_project | 2005-07-17 23:59 | 凛(りん)

Book Baton


july,july,julyのlungs_okさんから回ってきたBook Batonです。
やってみます。

1.持っている本の冊数

7~800冊ぐらいです。正確な数はわかりません。

2.今読みかけの本 or 読もうと思っている本(既読、未読問わず)

■森永スポーツ&フィットネスリサーチセンター編
『忙しい人のための簡単にできる10分間トレーニングがわかる!』
(森永製菓株式会社健康事業部)


長編小説を書くには持久力が不可欠であると痛感し、ちょっと前から運動をはじめてます。
本格的なプログラムづくりの本も並んでいたけれど敷居が高くて、
あるいはカジュアルにと「モテるための身体づくり」みたいな本を手に取ると
写真が多すぎてまぶしくなってしまい、結局おだやかでお手軽な入門書を。
ストレッチは癖になります。

3.最後に買った本

■保坂和志『小説の自由』(新潮社)

小説について書かれている本にはよく、小説家になりたかったら小説作法なんか読むな、
ヘボになるみたいなことが書かれていて、そのときは、よし、そっか、もう読まないぞ、
なんて思うのですが、いつの間にかそれなりに手が伸びています。
でも、こうした本には書き手の小説に対するなみなみならぬ思い入れを感じられることがあり、
この本にもそんな期待をしています。

4.特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊(まで)

■『暮らしの知恵・アイデア大百科500』(タイトル不正確、出版社不明)

小学校低学年のころ団地の集会所に図書室ができて、
そこでなんとなく借りてきたら母がひどくほめてくれて、本っていいなと思いました。
一つだけ、知恵を覚えています。
近くに水飲み場がない状況で、喉の渇きをうるおす方法。

1、ちいさな、できるだけ丸い石を拾いましょう。
2、石を洋服の端などで拭いて、きれいにしてください。
3、石を口のなかに入れてなめれば唾液が出て、乾きがおさまるでしょう。


■安房直子『魔法をかけられた舌』(岩崎書店・フォア文庫)

改めてよさを発見しつつある童話作家の作品です。
昨年出た作品集の71編中でも、いまのところ「青い花」がベスト。
こないだ、この作品からインスパイアを受けた短編を書きました。

「海の色ににているわ」
「うん、ぼくもそう思ったよ」
「このかさをさしていると、まるで青い屋根の家の中にいるみたい」
「ああ、ぼくもそう思った!」(「青い花」)


■イーサン・ケイニン『宮殿泥棒』(文春文庫)

三年以内に関心をもって読むようになったなかで、印象深い作家の一人。
新作がなかなか翻訳されないのですが、柴田元幸の解説によれば、
この短編集が現時点での最良の出来だとのこと。
作品に描かれる兄弟関係は、中上健次や色川武大の作品をちょっと思い出します。

「セルヴス」とクライヴは言って、にっこり笑った。「挨拶の文句だ」。
クライヴは片手を僕の肩に置いた。「セルヴス」ともう一度クライヴは言った。
「セルヴス」
「気分はどうだ、弟?」
「すごくいい」
「俺たちの辞書、見つけたんだろ?」
「ううん。探しもしなかったよ」(「バートルシャーグとセレレム」)


■J・アーヴィング『ホテル・ニューハンプシャー』(新潮文庫)

J・アーヴィングがディケンズについて書いた「小説の神様」(『ピギー・スニードを救う話』所収)
を読んで、長編を書きたい思いが高まっています。この『ホテル・・・・・・』のような。

恋もまたソローと同じように沈むことなく漂い続ける。
そしてそれが正しいなら、恋はたぶん別の点でもソローに似ているであろう。


すこし前にぼくが留守のあいだ甥が部屋に遊びに来ていたようで本が数冊散乱していて、
そのなかに『ピギー・スニードを救う話』も転がっていました。
すぐそばに落書きを描いたコピー用紙が数枚。
その一枚に本の絵が描いてあり、表紙に「ヨニー・スイートをさがせ」とありました。
そういうタイトルもいいなあと思い、いまもこの本にはさんであります。

■中上健次・村上龍『ジャズと爆弾』(角川文庫)

中上健次は初期の短編に思い入れがあるのですが、対談を読むのも好きです。
『限りなく透明に近いブルー』でデビューして間もない村上龍のトンガった感じと、
先行作家としてそれに合わせようとしながらもあまりに文学的な中上健次とのズレが、
やんちゃに言葉を重ねるうち徐々に溶け合っていくさまがすばらしい。

そういえば、中上健次は1985年11月に朝日ジャーナル誌上で
J・アーヴィングとも対談をしています(「小説に今こそ物語(ナラティブ)の復権を」)。
そのなかで中上健次は、日本ではJ・アーヴィングは「洒落た都会派」のイメージが強い、
なぜなら紹介した人たちがそういう人間だからだ、と述べたうえで自分の見方を語ります。

中上:アービングさんの小説は過剰な物語というか、
過剰な思い入れとかシンパシーが詰まっていて、体温がとても高いと思います。


85年といえば、J・アーヴィングの邦訳はサンリオの『ガープの世界』のみですが、
アメリカでは『サイダーハウス・ルール』が出版され、
日本では村上春樹が『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を発表しています。
中上健次はすでに大作『地の果て 至上の時』(83年)を書き終えていました。
対談自体はさほど盛り上がっていないのですが、
20年経ったいま、この時期のことを思いめぐらす手がかりになり、ちょっとワクワクします。

5.次にまわす人5人まで

では、a fragment of journeyのakno3さん、よろしくお願いします。
# by pacific_project | 2005-07-09 01:39 | 読書
村上龍の傑作「コインロッカー・ベイビーズ」(講談社)がアメリカで映画化されるようです。
2006年公開で、キャストにあがっているのは浅野忠信、ヴィンセント・ギャロ、ショーン・レノンほか。
このなかの誰がキクを、誰がハシをやるのでしょうか。
吉田秋生の名作漫画「バナナフィッシュ」(小学館)の雰囲気が思い浮かんでくる。

監督や脚本の方、きっと日本の漫画事情にもお詳しいことと思いますが、
もしも「バナナフィッシュ」を未読なら、
今回の映画化にあたり、目を通したうえで作品を作ってくださるとうれしいです。
きっと、何かの役に立つと思うので。期待してます。
# by pacific_project | 2005-07-05 10:33 | 日誌

アーヴィングによれば

アーヴィングによれば_b0005668_10105958.jpg6月30日の読売新聞に、J・アーヴィングのインタビューが載っていました。

私にとっては筋立てがとても大切だ。私の関心は読者の感情を揺り動かすことにある。私はインテリではなく物語の語り手だ。芸術家ではなく職人だ。小説も家を建てるように書く。

いつもながら、小説に対する考えが明快です。
未亡人の一年」(新潮社)原作の映画『The door in the floor』が、この秋に日本公開されるようです。

楽しみだ。
# by pacific_project | 2005-07-03 22:26 | 読書

ジャガイモ

すこし前のことになるが、ジャガイモをいただいた。
お家の庭でつくったのだという。とれたてだ。
遅くに帰宅した夜、皮をむいて、芽を取って、レンジで数分。
くしがとおるくらいになったら取り出し、四つに割る。と、
中からほわほわ湯気が出てくる。ふ。顔がほころんでしまう。
バターを落としたらふにゃり、と溶ける。あら塩をふっていただく。
しばらく塩で楽しんだ後、ちょっと醤油をたらしてちがう味にする。
おいしい!
夜中に台所でしばし動けなかった。
こういうのでいいんだよなあ、と思いながら、眠る。

思い出した。
いつだったかに読んだ長嶋有の小説のなかで、
主人公の男が昼間、商店街の肉屋でコロッケを買って、ソースも買って、
公園に行って熱いうちに食べる、という場面があった。
これはこれでおいしそう。
たしかそれはある作家が幸福な食事とは何か、と問われたときの答えで、
それを覚えていた主人公が自分でもやってみたのだ。
機会さえあればやってみようと思いながら、肉屋を通っても忘れている。
いつか晴れた日の昼下がりに、決行します。
広めの公園で。大胆に。

そう、コロッケといえば、安房直子に「コロッケが五十二」という作品があります。
こふきちゃん、という肉屋の娘が家で留守番するあいだ、
両親に内緒で、コロッケをつくるのです。隣の猫といっしょに。
上手につくれるものの、ふとした拍子にコロッケがお皿から転がり、外へ出ていく。
あわてて追いかけるうち足が止まらなくなって、
いつしか自分も転がるコロッケになってしまう、という話。
この作家には、流れに巻き込まれてしまうという話が、けっこうあります。

この、こふきちゃんというネーミングが子どものころから好きで、
こないだ書いた短編「サーカステント」に、登場してもらいました。

今日は、ジャガイモづくし。
# by pacific_project | 2005-06-29 22:29 | 料理・食べ物