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航海日誌


by pacific_project
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雪で思い出した

今日はほんとうに寒かったですね。

今日の雪である短編を思い出して、帰ってから読み返したらやはりよかった。アイザック・B・シンガー『お話を運んだ馬』(岩波少年文庫)に入っている「ワルシャワのハヌカ前夜」という作品。

舞台はワルシャワで、主人公はお話をつくるのが好きな7歳の少年。ハヌカ(毎年12月にあるユダヤ教の祭り)がはじまる前の日で学校の授業が早く終わり、いつも送り迎えしてもらっている先生に用事があって一人で家に帰ることになる。だが、激しく降る雪のせいで、街が見慣れない景色と化してあっという間に迷子になる。見知らぬ大人に声をかけられ、咄嗟に自分はみなしごだと嘘をついてしまう少年。そして、その嘘をきっかけにボタンが掛け違えたようになり、少年は自分がもう、このまま家出をするしかないんだと思いこむ。胸に生まれたその想いをふくらませて、気になっている少女の家をこっそりと訪れ、彼女に一緒に家出しないかと持ちかけるのだが・・・・・・。

アイザック・B・シンガーはユダヤ系アメリカ人で、イディッシュ語で書いた作家。この作品集は児童文学として出されているが、子どもの頃ではなく二十歳をいくつか越えてから読んだ。家族の描き方をはじめ、読んでいて親近感が湧き、夢中になって翻訳された作品をまとめて読んだ時期がある。なかでもこの作品集は特に好きで、何度か読み返している。同作品集内「おとなになっていくこと」「お話の名手ナフタリと愛馬スウスの物語」もいい。
by pacific_project | 2005-03-04 23:59 | 読書