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航海日誌


by pacific_project
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阿部和重・芥川賞受賞で思い出すこと

芥川賞に阿部和重、直木賞に角田光代の両氏
第132回芥川・直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が13日、東京・築地の「新喜楽」で開かれ、芥川賞に阿部和重さん(36)の「グランド・フィナーレ」(群像12月号)、直木賞は角田光代(かくたみつよ)さん(37)の「対岸の彼女」(文芸春秋)に決まった。(毎日新聞)
大学に入った年だから94年、阿部和重が「アメリカの夜」で群像新人文学賞を受賞してデビューした。当時の選考委員の柄谷行人と後藤明生が絶賛した作品だった。なぜよく覚えているのかというと、私を映像サークルに誘ってくださった当時4年生の先輩Oさんが飲みの席で「ぼくらは『アメリカの夜』のような小説を書きたかったんだよ」と話していて、それがきっかけで「アメリカの夜」を読んだからだ。ぼくと言わずに、ぼくらと言ったと思う。間をおかずに、先輩がサークルの部室に置いていった卒業制作の小説を読んだのだが、私にはその二作品は、まったく異なる世界のように思えた。

Oさんの卒業する前に、いちどだけ小説を読んでいただいたことがあって、先輩は感想とアドバイスを書いた手紙をくださったのだが、私はその手紙を事あるごとに読み返している。その手紙には、小説を書くときの心構えとでもいうべきものがいくつか記されていて、ついさっきも読み返してみたのだが、今でも私はそれらを自然と守っている。こういうことはずっと忘れない。卒業後、時計店で働いていて小説を書いている、ということを誰かから聞いたのだが、いつかお会いできるときがきたらお礼を言いたい。そして、また小説について話をしたいと思う。
by pacific_project | 2005-01-13 23:29 | 読書